管理費や修繕積立金等はマンション財政を支える重要な収入であることは言うまでもありません。
ところが、
- 多くの場合、管理会社からは、一度督促して支払いがないと、あとは管理組合で自主解決してくださいと投げられてしまう、
- 組合員が個人としてすぐに困るわけではないため他人事になってしまいがち、
- ご近所さんへの取り立てはやりにくい
等々の事情で、ともすると放置しがちです。
しかし放置すれば金額が膨らんでいって益々治療がたいへんになります。可能な限り早期に相談をして手を打つことが非常に重要です。
回収の方法は任意交渉、支払督促、訴訟、各種競売、承継人への請求・・など各種あり、弁護士に相談して、
きちんと手掛ければ多くのケースで解決の道を探すことは可能です。
規約の内容により弁護士費用(全額請求できるとは限りませんが)を滞納者に請求できる場合も多くあります。
相続人不在(相続放棄)、行方不明、実体のない法人所有、海外在住外国人で連絡不通…等で、所有者不明となってしまった住戸の相談が近年非常に増えています。あなたのマンションは大丈夫でしょうか?
とくにリゾートマンションでは、留守が続いても不審を感じず問題発生の察知が遅れてしまいがちなので要注意です。
これらは、滞納がきっかけで判明することも多々ありますが、滞納問題は「支払わない」ことによって発生するのに対し、所有者不明は、そもそも「支払う者がいない」いわゆる「空き家」問題であって、結果として、支払われる当てのない未収金の数字が積みあがっているわけです。滞納問題とは別の視点から考えなければなりません。
放置すると、将来にわたって管理費等の収入が不足するほか、管理不全住戸があるとそこからの漏水等…様々な問題が発生する危険があります。また、不明住戸が増えると多数決による管理組合の意思決定が困難になってくることもあります。
厄介な話ではありますが、状況に合わせた対応策を検討いたしますので、そのままにせずまずご相談ください。
なお、区分所有法の改正により「所有者不明専有部分管理制度」や「管理不全専有部分管理制度」が誕生の予定ですが、今のところはまだどこまで実効性があるかはわかりません。
区分所有法は、多くの事項を規約や総会決議による管理組合の自治に委ねています。国土交通省はこれを受け、「標準管理規約」やそのコメント、各種ガイドライン等を公表し、推奨していますが、それらは「新築または築浅」の「一定規模以上の定住用(複合型含む)マンション」を想定しており、一般的に推奨できるモデルプランであって、各マンションの個別事情を網羅しているわけではありません。
そのため、もしあなたのマンションの管理状況や規律に疑問や、窮屈さがある場合には、事情に合わせて改善すべき点があるかもしれません。あくまで法律で許容された範囲でなければなりませんが、せっかく認められている自治ですから、それを生かさない手はないでしょう。
また、2025年、区分所有法は重要な点で大幅に改正されました。そのため、このタイミングで「新しい区分所有法に合致するか」という観点からも、規約や体制を見直すことも必要となっています。
大規模修繕の実施、管理費等の変更や一時金の徴収、管理会社の変更、ペットの禁止や解禁などの各種変更…等々、総会決議を経て、組合として重要な意思決定をしたにもかかわらず、後日訴訟で決議無効の判決が出てしまう、あるいは手続不備で再度総会開催が必要になる…という事態を避けるために、意思決定の際の法的なサポートを頼みたいという相談が増えてきています。マンション関連法規はなかなか複雑です。
また、マンションにおいては、重要事項が正式決定しても、実施段階で多くの皆さんの協力を得ながら進めなければ実現困難なことが多いという特性があります。単純に「多数決で決議要件さえクリアでいればいい」という考え方もリスクを伴うのでご注意が必要です。
とくにマンション内で意見や利害が衝突しそうなことについては、一人でも多くのかたに理解を深めていただくよう、説明会や意見交換会の実施、説明資料の配布等々についても検討することを強くお勧めします。
標準管理規約等の各種モデル規定は定住者向け一定規模以上のマンションを想定して作られており、それ以外の目的を持つ、リゾートマンションや、賃貸を前提とした投資用マンション等については、そのままモデルとして使うと矛盾や不都合が生じることも珍しくありません。
これら、目的や事情の異なるマンションについては、その目的ゆえの事情や特有の課題があるのは自明のことです。管理体制や、規約の在り方についても、法律に準拠しながらもそれに合わせた検討がぜひとも必要です。また、トラブルが発生したときの対処方法についても、定住用マンションとは異なる方針を立てる必要があります。
私たちは、これら定住目的以外のマンションが抱えている深刻な問題にも取り組んでいます。ご相談ください。
一般的な分譲マンションよりも、もっと小規模な建物、たとえばコーポラティブハウスとか、家族や親戚だけで区分所有して管理するプライベートなビル、団地内の各棟など、極端な場合には2軒のみで区分所有する建物も、区分所有法の適用される建物です。
しかしながら、これらの多くは管理規約もなく、管理者は置かず、定期的な総会の開催も行われていない、ましてや管理会社のサポートも得られない場合がほとんどでしょう。
これらの建物で意思決定の必要が生じた場合、問題が発生した場合には、一般的なマンションとは違った配慮が必要になってきます。ご相談ください。